生徒一人ひとりに寄り添う英作文指導を実現「都内公立中学校における先駆的導入事例」

福生市立福生第一中学校での英語授業の様子

東京都福生市の福生第一中学校では、都内の区市町村立中学校として初めてAI英作文添削サービス「ライップ」を導入。生徒の主体的な学びを促進するとともに、教員の負担軽減を実現しています。

導入背景と課題

英語教育において「書くこと」の指導は、個々の生徒に対するきめ細かいフィードバックが求められる一方で、教員の負担が大きい分野です。特に中学校段階では、英作文に苦手意識を持つ生徒も多く、効果的な指導方法が課題となっていました。

主な課題

  • 授業中に全ての生徒の質問に答えることが時間的に困難
  • 英作文への苦手意識からペンが進まない生徒への対応
  • 個別指導の時間確保と教員の添削負担の軽減の両立

「ライップ」の活用方法

学習用タブレット(iPad)を活用 中学2年生の英語授業で実施

授業での実践例

◆単元名:Unit 3 What kind of Job are you interested in?

◆単元の目標:「将来像や夢などについて考え、取り組んでいきたいことについて、説明する(書く)ことができる」

◆新出言語材料:to不定詞(副詞的用法/原因、形容詞的用法、It … to ..の文)

◆ライップ活用のねらい:職場体験で使用する自己紹介文作成のサポート

1

ウォームアップ(5分)

  • 英単語練習:教員に続いて復唱 → ペアで練習
  • "What's your favorite picture book?"を使った対話練習
2

教科書を用いたリーディング(15分)

  • 教科書本文を音読し、to不定詞を含む文の構造を確認
  • 教科書本文を音読し、自己紹介で使える表現を確認
  • 教員による説明と質疑応答
3

ライップを活用した英作文練習(20分)

  • テーマ設定:「職場体験に向けた自己紹介文を英語で書く」
  • 書き始めに困った生徒はライップに質問
  • ライップからの回答を参考に自分の英作文を作成
  • 教員は机間巡視をしながら、特に支援が必要な生徒をサポート
4

ペアでの音読練習(10分)

  • 完成した英作文をペアで音読して共有
  • 教員による全体フィードバック

授業では、生徒がそれぞれの方法で英作文に取り組みます。友人に相談する生徒、教員に質問する生徒の他、クラスの約半数以上がiPadを使ってライップによる英作文支援を受けています。

ライップでのAI質問例
生徒はAIからの回答を参考に学習を進める
タブレットでの学習風景
学習用タブレットを活用した自主的な学び

ライップの特徴は、単に答えを教えるのではなく、「答えにたどり着くためのヒント」を提供することで生徒の思考力や表現力を育むことにあります。このアプローチにより、自分で文章を考える力が養われています。

教員の指導サポートとして

教員はライップを通して生徒がどのような質問をしているかを確認できるため、生徒の理解度や疑問点を把握する手がかりになっています。これにより、教室内で特に支援が必要な生徒を優先的にフォローすることが可能になりました。


また、教員が全ての生徒の質問に即時に対応することが難しい状況でも、AIがサポートすることで授業がスムーズに進行するようになりました。

導入効果

生徒の学習意欲と成績の向上

ある生徒は「英語が得意ではない」と話しながらも、「授業中に先生を呼び止めなくてもアドバイスを聞けるのでとても役立っている」と評価。実際に、AIソフトを活用し始めてから英語のテスト点数が大幅に向上したとのことです。

生徒の自主性向上

AIを相談相手として活用することで、自ら考え、文章を改善していく主体的な学びの姿勢が育まれています。

英作文への抵抗感低減

英作文に苦手意識を持つ生徒も、AIのサポートを受けながら少しずつ自信をつけています。

教員の負担軽減

授業中の個別質問対応が減少し、特に支援が必要な生徒への指導に時間を割くことが可能になりました。

先生のコメント

寺沢 先生

英語科

「英作文はそもそもペンが動かない生徒もいますし、全ての生徒の質問に授業中に答えるのは難しく、課題が多い分野でした。AIによって今後は授業がスムーズになるのではと期待しています。」

「生徒がAIにどんな質問をしたかも教員が確認できる仕組みになっており、生徒の理解度や疑問を理解するきっかけにもなっています。このような相乗効果も導入の大きなメリットだと感じています。」

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成果まとめ

都内公立中学校初の試み

都内の区市町村立中学校として初めての導入実績として、英語教育のさらなる発展に貢献

生徒の英語力向上

AI活用後、テストの点数が向上するなど、具体的な学習効果が確認されています

学習環境の改善

教員と生徒双方にとって、より効果的で効率的な英作文学習環境が整いました

福生第一中学校における「ライップ」の導入は、AIを活用した英語教育の可能性を広げる重要な一歩となっています。教員の専門性とAIの特性を組み合わせることで、より質の高い英語教育の実現が期待されます。