東京都福生市の福生第一中学校では、都内の区市町村立中学校として初めてAI英作文添削サービス「ライップ」を導入。生徒の主体的な学びを促進するとともに、教員の負担軽減を実現しています。
英語教育において「書くこと」の指導は、個々の生徒に対するきめ細かいフィードバックが求められる一方で、教員の負担が大きい分野です。特に中学校段階では、英作文に苦手意識を持つ生徒も多く、効果的な指導方法が課題となっていました。
◆単元名:Unit 3 What kind of Job are you interested in?
◆単元の目標:「将来像や夢などについて考え、取り組んでいきたいことについて、説明する(書く)ことができる」
◆新出言語材料:to不定詞(副詞的用法/原因、形容詞的用法、It … to ..の文)
◆ライップ活用のねらい:職場体験で使用する自己紹介文作成のサポート
授業では、生徒がそれぞれの方法で英作文に取り組みます。友人に相談する生徒、教員に質問する生徒の他、クラスの約半数以上がiPadを使ってライップによる英作文支援を受けています。
ライップの特徴は、単に答えを教えるのではなく、「答えにたどり着くためのヒント」を提供することで生徒の思考力や表現力を育むことにあります。このアプローチにより、自分で文章を考える力が養われています。
教員はライップを通して生徒がどのような質問をしているかを確認できるため、生徒の理解度や疑問点を把握する手がかりになっています。これにより、教室内で特に支援が必要な生徒を優先的にフォローすることが可能になりました。
また、教員が全ての生徒の質問に即時に対応することが難しい状況でも、AIがサポートすることで授業がスムーズに進行するようになりました。
ある生徒は「英語が得意ではない」と話しながらも、「授業中に先生を呼び止めなくてもアドバイスを聞けるのでとても役立っている」と評価。実際に、AIソフトを活用し始めてから英語のテスト点数が大幅に向上したとのことです。
AIを相談相手として活用することで、自ら考え、文章を改善していく主体的な学びの姿勢が育まれています。
英作文に苦手意識を持つ生徒も、AIのサポートを受けながら少しずつ自信をつけています。
授業中の個別質問対応が減少し、特に支援が必要な生徒への指導に時間を割くことが可能になりました。
「英作文はそもそもペンが動かない生徒もいますし、全ての生徒の質問に授業中に答えるのは難しく、課題が多い分野でした。AIによって今後は授業がスムーズになるのではと期待しています。」
「生徒がAIにどんな質問をしたかも教員が確認できる仕組みになっており、生徒の理解度や疑問を理解するきっかけにもなっています。このような相乗効果も導入の大きなメリットだと感じています。」
記事を読む(外部リンク)都内の区市町村立中学校として初めての導入実績として、英語教育のさらなる発展に貢献
AI活用後、テストの点数が向上するなど、具体的な学習効果が確認されています
教員と生徒双方にとって、より効果的で効率的な英作文学習環境が整いました
福生第一中学校における「ライップ」の導入は、AIを活用した英語教育の可能性を広げる重要な一歩となっています。教員の専門性とAIの特性を組み合わせることで、より質の高い英語教育の実現が期待されます。
寺沢 先生
英語科